Stchang’s Diary

すとちゃんが綴る、他愛ないほのぼの日常。

旅行

 実家にいた頃は年に一、二度は家族旅行に出ていた。ぼくの故郷の近隣にある県であったり、遠出して関東に行ったりと、なんだかんだでいろいろ行った。移動手段はほぼすべて父の運転する車だった。どれだけ距離が離れていても、移動のすべてを高速道路を使って車で行った。ぼくは決まって助手席に座っており、外を眺めながら延々と音楽を聴いていた。

 

 ふと気がつくと長いこと眠っていて、目が覚めると車が止まっている。「もうついたんかな」と起き出すと三度目くらいのパーキングエリアだった……、なんてこともよくある光景だった。それくらい離れている場所にも行った。そんな時は運転もしていないのに一丁前に疲れ果て、ホテルにつくとすぐに横たわる、なんてことになった。

 

 旅行に行ってたどり着く先は、当然だけれど自分の住んでいる場所とは土地が違うので、それなりに刺激もあったりする。例えば普段ぼくが使っているものと方言が違ったり、故郷にない建物や街並み、よく話題になるけれど車のマナーに対する感想など、切り取ると案外小さいものが目について、一喜一憂していたりして思わずはっとする。

 

 この街に引っ越してきたあとは、旅行に取って代わって帰省がその位置を占めた。ぼくが家を出たことで、家族旅行の実施自体が結構難しくなった。人並みに時間の流れと現在の状況にはたと気づいて寂しくなることは、やっぱりぼくにもあったりする。でも、この先も時間は流れるので、ひょっとすると、故郷を一生出る気のなかったぼくが縁あってこの街に来たように、後々に家族でまた旅行する機会が出てくる可能性も、ないとは言い切れないのだ。

 

 密かに、頭の片隅でそんなことを考えながら、今日がゆっくり終わっていく。