Stchang’s Diary

すとちゃんが綴る、他愛ないほのぼの日常。

手紙と恋

 小学校高学年の頃のこと。人並みに恋をしていたけれど、相手にどうやって思いを伝えて良いものかさっぱりわからなかった。友達の何人かに相談して、そのうちの一人から「手紙を書いて渡せばいい」なんて古き良き方法を教わって、馬鹿丁寧な手紙をしたためて相手の机に入れたことがある。その子は自分の友人何人かと発見して、顔を真っ赤にしながら読んでいたけれど、それ以上に恥ずかしかったぼくは気を紛らわせるために大笑いをしながら駆け足で廊下を駆け抜けていた。

 

 その子からは当然のように返事が返ってくることはなく、その後中学校に上がってからは学校の中で地位が全然高くなかったぼくを避けるようになった。ぼくと違って猛烈に頭が良かったから、高校は全然違うところに進学した。それ以来全く会ってない。成人式でも見かけた記憶がない。高校からは例のスクールカーストでの立ち位置が本格的に下になったから、ぼくも正直それどころではなかった。

 

 何年か前、現在もだけれどSNSが急速に普及して久しい時に、友達がそのうちの一つをやっているというので試しにぼくもやった。いろいろいじくっている時に、それらしい人を見つけた。とてもまっとうに自らの道を進んでいる、充実した人生があったので、なぜだかひどく安心した。

 

 まさかあの頃の恋心が未だに残っているなんて間違っても思わないけれど、温かい心持ちになることは、少なくとも中学校に上がってからも一方的なものだけれど、憎からず思ってはいたのだろうか。

 

 そんなことをのんびりと思い出した出張の帰り道だった。